バイトで販売することもある!エンジンオイルという商品 ~中編:エンジンオイルの種類~
ガソリンスタンドでも販売しているエンジンオイル。ガソリンスタンドの主力商品であるガソリン・軽油などの燃料油ではありませんが、バイト・パートでも販売する機会がある商品の一つです。
そんなエンジンオイルについて、前回の記事(https://gasmanjob.com/journal/2021/09/22/engineoil01/)ではエンジンオイルの機能について詳しく説明しました。今回は、エンジンオイルの種類について掘り下げていきたいと思います。
■エンジンオイルの種類
エンジンオイルはガソリンスタンドやカー用品店など、今や多くのお店で販売しています。実際にお店に販売・陳列されているものを見ると、たじろいでしまう程、種類が豊富。オイルはパッケージを除き、見た目も含めてどれも同じなのでは?と思いたくなりますが、いったい何が異なるのでしょうか。
その違いを見極めるポイントは三つあります。それは、①粘度(ねんど)、②ベースオイル、③グレード・規格、の三つです。順番に説明していきましょう。
①粘度
粘度とは、平たくいうと「オイルの粘りの強さ」です。水にも軟水や硬水があり、硬さを表す「硬度」という指標があるように、オイルも硬さ・柔らかさがあり、その度合いを「粘度」で表します。粘度の表記は、例えば、図のように「5W-30」というようもので、Wの左側にある方の数字が低温時の粘度、ハイフンの右側にある数字が高温時の粘度を表します。WはWinter(冬)の意味です。
出所:https://shop.autobacs.com/ja/feature/knowledge/oil
低温時の粘度は0~20(または25)までの間で表記され、数字が低いほどオイルが低温時に柔らかくさらさらしており、寒さに強くてエンジン始動や燃費が良い、といった特徴があります。
また、高温時の粘度は20~60までの間で表記され、数字が高いほどオイルが高温時に硬くねばねばしており、暑さ・熱に強く、従ってエンジンが熱しやすい高速走行にも強く、ねばねばしている分エンジンの保護性能も高い、という特徴があります。
また、粘度は自由に選んでよいものではなく、車種によって指定・推奨されていることがあります。
例えばアバルトという車であれば取扱説明書に「SELENIA ABARTH 10W50」を指定しています。アバルトはエンジンパワーがある車で高速走行に適しているため、それに応じて高温時でも比較的強い「10W-50」のエンジンオイルを指定しているのですね。
このように、それぞれの車のタイプに応じて適した粘度があり、
- 低温時の粘度が0W~5W×高温時の粘度が20~30 → 街乗りで低速走行中心の車、エコカーなど
- 低温時の粘度が5W~10W×高温時の粘度が30~40 → オールラウンド
- 低温時の粘度が5W~15W×高温時の粘度が50 → 高速走行が中心・ターボ搭載車
- 低温時の粘度が10W~15W×高温時の粘度が60 → スポーツ走行向け
というようにざっくり分けることが可能です。エンジンオイルの交換にはこうしたことを頭に入れておかなければなりません。
②ベースオイル
低粘度・高粘度、それぞれ一長一短があり、車種により適した粘度が異なる、ということがお分かりいただけたと思います。しかし低粘度オイルは燃費が良いが保護性能が低く、高粘度オイルは逆に燃費が悪く保護性能が高い、というのはなんとかならないのでしょうか。つまり燃費は下げることなく、保護性能が高いもの、は存在しないのでしょうか。
その時にポイントとなるのが「ベースオイル」です。ベースオイルには(A)化学合成油、(B)部分合成油、(C)鉱物油の3種類があり、粘度を変えずに保護性能を上げたいときは化学合成油が推奨されます。
(A)化学合成油 ・・・ オイルを分子化した後、化学的に合成したオイル。エンジン洗浄と環境を考えた添加剤を化学合成させ、良質でコストが高い。
(B)部分合成油 ・・・ 鉱物油に水素化精製油または化学合成油を20~30%混合したベースオイル。化学合成油に比べると価格が安い代わりに、性能・耐熱性の面では劣る。
(C)鉱物油 ・・・ 原油から不純物を取り除いて精製されたベースオイル。価格が最も安い一方で、劣化は早く、酸化もしやすいため、品質は劣る。
ベースオイルをいずれにするかで、性能差が出るわけですね。
③グレード・規格
エンジンオイルを選ぶ際の特に重要なポイントは①粘度と②のベースオイルですが、品質を定めた規格がいくつか存在し、それを参考にすれば品質の高低を判断する基準になります。
例えば、アメリカ石油協会(American Petroleum Institute)がエンジンオイルの品質を定めた規格は「API規格」というもので、ガソリンエンジンオイルはSを頭文字としてA~Mまでの表記で品質を定めています。具体的にはSA→SB→SC→ … →SMと分類され、右に行くほど高品質とされています。
また、ディーゼルエンジンオイルはCを頭文字としてCA→CB→ … →CF→CF-4というように分類され、同様に右に行くほど高品質とされています。
出所 : https://oft.jp/eco/aboutoil/
実は先程「粘度」の欄で説明した「○○W-○○」という表記も、アメリカ自動車技術者協会(Society of Automotive Engineers)というところが定めた規格で、「SAE規格」として粘度を定めており、広く普及しているものです。
以上の三つのポイントを見れば、エンジンオイルの種類を区別することができるでしょう。ご自身の車のエンジンオイルの交換を考えられている方、お仕事でエンジンオイルを販売されることがある方、どなたも参考にしていただけると思います。
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